絵本「りぼん ちょうだい」にまつわるインキの話。

「こぐまちゃん」シリーズで知られるこぐま社の新刊絵本「りぼん ちょうだい」を弊社で印刷しました。
今回は、この作品にまつわるインキのあれこれをお話しようと思います。

「りぼん ちょうだい」書影

この作品は、1972年にフレーベル館より刊行された同名の絵本を改訂したものです。
ある女の子が、もらったりぼんをきっかけにいろいろな動物たちと出会い、親しくなるというストーリー。
登場人物たちの様子が、水彩絵の具を用いた温かみのあるタッチで描かれています。
改訂にあたり、絵は全面的に描き直されたそうです。

本作はカラー印刷なので、通常であればCMYK(藍・紅・黄・墨)のプロセスインキを使います。
ただそれだと、水彩絵の具ならではの透き通った色の再現が難しく、特にりぼんに使われている赤がくすんで見えてしまうのです。

「りぼん ちょうだい」比較画像01
▲色校正。左がプロセス、右が弊社オリジナルの「絵本パステル」で出力したもの。

そこで、墨以外の3色を蛍光の特色に置き換えた弊社独自のセット「絵本パステル」を使ってみたところ、良い効果が得られました。
比べてみるとわかりやすいのですが、特色印刷では原画に近い色合いのインキを使うことができるので、
微妙な色合いでも、透明感を損なわずに再現できるのです。

特にりぼんのピンクにご注目ください。
プロセスでは、りぼんが沈んだ色になってしまい、絵の中に埋もれている印象ですが、
特色の場合、りぼんの存在感が増し、より引き立って見えるのではないでしょうか。

「りぼん ちょうだい」比較画像02
▲本文(色校正)。左がプロセス、右が弊社オリジナルの「絵本パステル」で出力したもの。

女の子や動物たちのつながりをあらわす存在でもあるりぼんの色を、どこまで原画通りに再現できるか。
これが、本作の印刷では大きなポイントでした。

こぐま社の編集者様からは、「ピンクやミドリがすごくきれいに出ていますね。原画とほぼいっしょで先生もおどろいていましたよ」と喜びの声をいただきました。
いま書店に並んでいる「りぼん ちょうだい」は、この特色を使って印刷されています。

さまざまな画材で描かれた原画のもつ良さを、いかに油性インキの印刷で実現するか。
弊社が絵本印刷で培ったノウハウが、みなさまのお役に立つかもしれません。

ご興味を持たれた方は、ぜひ一度弊社にご相談ください。
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